花舞う街のリトル・クラウン
「花屋フルリエルからリュートの店へ。これを届けにきました」
リルは持ってきたハイビスカスを差し出した。
「これは…」
「この前お店に飾り付けたものと同じ花です。花言葉は【華やか】。新しい出発に花を添えたくて」
するとリュートは「ありがとよ」と照れくさそうにそれを受け取った。
「確かにこの花があるだけでパッと周りが明るくなるな」
「大事に飾らせてもらうよ」とリュートは歯を見せて笑った。その笑顔を見てリルまで嬉しくなった。
その時暖簾が風に舞って客が入ってきた。
「へい、いらっしゃい!…って、お前さんか」
「邪魔するぞ」
儚ささえ感じる金の髪、冷酷さの鋭い紫の瞳。神出鬼没でどこにでも現れるその人は、リルもよく知る人物だった。
「シオン…」
騎士団を指揮する謎の多い人。
「シオンか、よく来たな」
リュートはシオンに笑いかける。けれどシオンはリルを一瞥するとリュートに「仕事の用で来た。聞きたいことがある」と言った。
「ダン・クレールのことを知りたい」
それはリュートの店にフラムルージュの赤い花束を届けた人物の名前だった。
「ダン・クレールだって?」
その名前を聞いたリュートは戸惑いを隠せずに聞き返す。
「また、どうしていきなりあいつの名前が…」
「少し、仕事でな。やつに会いたいが、どこにいるか分かるか?」
更に被されるシオンの問いにリュートは頭を抱えて「さあな」と答えた。
「どこにいるのかは知らねぇな。あいつはいつもふらっと現れては嫌味を振りまいていくやつだからな」
リルは持ってきたハイビスカスを差し出した。
「これは…」
「この前お店に飾り付けたものと同じ花です。花言葉は【華やか】。新しい出発に花を添えたくて」
するとリュートは「ありがとよ」と照れくさそうにそれを受け取った。
「確かにこの花があるだけでパッと周りが明るくなるな」
「大事に飾らせてもらうよ」とリュートは歯を見せて笑った。その笑顔を見てリルまで嬉しくなった。
その時暖簾が風に舞って客が入ってきた。
「へい、いらっしゃい!…って、お前さんか」
「邪魔するぞ」
儚ささえ感じる金の髪、冷酷さの鋭い紫の瞳。神出鬼没でどこにでも現れるその人は、リルもよく知る人物だった。
「シオン…」
騎士団を指揮する謎の多い人。
「シオンか、よく来たな」
リュートはシオンに笑いかける。けれどシオンはリルを一瞥するとリュートに「仕事の用で来た。聞きたいことがある」と言った。
「ダン・クレールのことを知りたい」
それはリュートの店にフラムルージュの赤い花束を届けた人物の名前だった。
「ダン・クレールだって?」
その名前を聞いたリュートは戸惑いを隠せずに聞き返す。
「また、どうしていきなりあいつの名前が…」
「少し、仕事でな。やつに会いたいが、どこにいるか分かるか?」
更に被されるシオンの問いにリュートは頭を抱えて「さあな」と答えた。
「どこにいるのかは知らねぇな。あいつはいつもふらっと現れては嫌味を振りまいていくやつだからな」