花舞う街のリトル・クラウン
強いシオンの言葉に、ダンはうなだれた。

抵抗することも無駄だと判断したのか、お手上げと言わんばかりにその両手を上げた。

それを見たテオはその腕に縄をかけた。ダンが逮捕された瞬間だった。


「連れていけ」

「は」


シオンに指示され、テオはダンを連れて店を出て行こうとする。


「ダン」


呼び止めたのはリュートだった。

リュートは悲しみのような、怒りのような、そんな哀れみの目をまっすぐにダンに向けていた。

足を止めたダンはリュートに振り返りその目を見つめ返した。


「ああ、そうだよ、俺がやったよ！全部なあ！」


その言葉に目を見開いて、けれどすぐに厳しい表情をしたリュートは「どうして…」と問いかけた。

なんとなくは分かっていた、けれど本当は違っていてほしかった。そんな気持ちが伝わってくるみたいで、その声は苦しかった。


「お前が嫌いだからだよ！いつも憎いほど熱いお前が大嫌いだ、気に食わないんだよ！」


吐き捨てるように言い放ったダンは満足したのか、自ら店の外に出て行く。

リュートはまっすぐにその背中を見えなくなるまで見つめていた。


リルは2人を見つめながら、なぜダンがフラムルージュを選んだ理由が少しだけ分かった気がした。

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