花舞う街のリトル・クラウン
リルは首を横に振った。


「メアの職場に来れて嬉しいよ」


微笑まれたメアはリルの頭に自分があげた髪飾りがあることに気づいて思わず声をあげた。


「それ…」

「ありがとう。これ、私の宝物だよ」


その言葉にメアは目を見開いた。

自分が作り出したものが、自分があげたものが、誰かにとって大切なものとなる。宝物だと言われる。それは装飾品をつくり職人として嬉しいことであると同時に友達としても嬉しいことだった。


「大切にしてくれて、ありがとう」


メアは嬉しくて言葉が出ていた。普段は恥ずかしくてなかなか言えな言葉だけれどリルを相手にするとすんなりと言葉がでてきた。

それは自分でも予期していなかったことで、口に出して初めて気づいた。慌てて口を押えてリルを見ると、リルはにっこり微笑んでくれていた。


「こちらこそ、素敵なものをありがとう」


その言葉はメアの胸の中にじんわりと広がっていく。自然と笑みがこぼれるメアを見て、マドレーヌも自分のことのように嬉しく思っていた。


「そういえば、リルはどうして王都に来たの?叶えたい夢かなにかあるの?」


来たばかりだとは聞いていたが詳しい事情は聞いていないことにメアは気づいた。

リルとアーディは顔を見合わせたが、リルはメアを見つめて「探している人がいるの」と言った。


「幼い頃にアルトワールの村に来て、このペンダントをくれた男の子を探しているの。その人と約束したんだ、王都で会おうって」


だから来たのだと言うリルにメアは驚いた。



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