花舞う街のリトル・クラウン
その言葉は妙に胸にすとんと落ちてリルは「確かに」と頷いた。

リルにはお姫様願望はないが、装飾品は嫌いではないし、新しい服を買えるお金があるのなら買ってみたい。きっと女性なら誰だってそう思うはずだ。


「へえ、そういうものなんだ」


アーディはよく分からないと言いたそうに肩をすくめる。


「王子様といえば、もうじきあの日がやってくるわね」

「ああ、もうそんな時期か。一年は早いね」


アーディとメアが仲良さそうに話している話題が分からないリルは「あの日って何?」と尋ねる。

するとメアは目を見開いて「え、知らないの!?」と驚いた様子を見せる。


「仕方ないさ。僕らだって王都に来るまでは知らなかっただろう?」

「確かに。地元ではあまり大きく取り上げられてはいなかったわね」


メアは納得した様子だが、リルは一切分からないままだ。

首を傾げるリルに、アーディは説明した。


「もうじき、この国の第一王女様のお誕生日なんだよ」


「それを祝って王都では盛大なお祭りが開かれるの。出店が立ち並んで多くの人でにぎわうわ」


「王族のご子息たちは第一王子、第二王子もいらっしゃるけれど、一番盛り上がるのはお姫様のお祭りだよね」


「なんてったってこの国唯一のお姫様だものね」

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