素敵な夜はあなたと・・・
「それで、何悩んでいるんだよ。俺で良ければ相談乗るぞ。」
「茜、止めときなよ。斎藤は茜を狙っているんだからね。」
「そんなことないって。斎藤君の本命は他にいるんだよ。」
そうは言ったものの茜は斎藤の本命など知らない。ただ、今は、優也とのクリスマスをどう過ごせばいいのか分からなくて頭を痛めていた。
「本命は茜だけだって。なあ、茜。」
「本命」と聞いて茜はハッとした。入籍した夫婦なのに、もう一緒に過ごして何か月もなるのに優也は茜に指一本触れようとしない。それを考えるともしかしたら優也には本命がいるのではないかと思えた。
普通の男の人は女と一緒に暮らして何もしないのだろうかと茜は考えたが、男子のことなど知識を持ち合わせていない茜ではそれ以上の答えは導きだせない。
「ねえ、斎藤君、聞いてもいい?」
「ああ、俺に何でも聞けよ。茜には手とり足とり俺が教えてやるからさ。」
「赤の他人の男女が二人だけで一緒に暮らしたら普通はどうなるの?」
「へ?」
流石にこの質問には斎藤は答え難かったようで顔を真っ赤にしながらも、しどろもどろで必死に答えようとした。けれど、茜相手にどこまで説明していいものかと斎藤は答えに困った。
「それ知りたいのか?」
「うん」
真面目な顔をする茜に嘘はつけない斎藤は答えに困っていた。