素敵な夜はあなたと・・・
茜の心配など他所に優也は美味しい食事をさせようとレストランへの駐車場へと入って行った。それほど高級感のある店ではないが、ちょっとオシャレな雰囲気のお店だ。
大人の男の人が一人で入るようなお店ではないと感じた茜はこの人は以前ここへ恋人と一緒に来たことがあるのではないかと思った。
自分の事ばかり考えていた茜だが、祖父にこの縁談を強制されたのは優也も同じはず。ならば、この人に恋人がいたとすれば自分以上に最悪な結婚だったはずだと茜は急に心が沈んでしまった。
「ごめんなさい。おじいちゃんの身勝手に付き合わされて迷惑しているわよね?」
「どうしたんだい?」
「私は舞阪の家の娘だから自分の好きな人と結婚出来るとは思っていなかった。でも、優也さんは違うでしょう?本当ならば自分の好きな人と一緒になって家庭を築きたいって思うわよね?」
優也が祖父の犠牲者であると言わんばかりの茜に、優也はその優しさが嬉しくなると茜の手を握り締めては引き寄せ茜を抱きしめた。
茜は突然の出来事に驚いたものの、抱きしめられるその腕はとても温かく、茜はかなりの年齢差があると感じていた優也に父親のような温もりを感じた。