素敵な夜はあなたと・・・
茜がいなくなり寂しさを感じていることを知られたくない優也は慌てて説明するも、完全に見透かされた美佐に笑われてしまうと優也は困った様な表情をしていた。そんな優也を見て美佐は笑いが止まらなかった。
二人が顔を見合わせて笑っている所へ、何も知らずにその喫茶店へと入って来た茜は二人の仲睦まじい様子を見てしまった。
照れたような表情を見せる優也と笑顔を見せている母親の姿にショックを受けてしまった。
以前も優也が美佐にプロポーズをし抱きしめてはキスをしていた現場を見たことがあった。それが原因で優也とのマンションを出て行ったのに、再び、二人の仲睦まじい姿を見せつけられるとは思いもよらなかった。
入ったばかりの喫茶店のドアを開け、急いで店外へと逃げる様に出て行った茜は二人から離れたくて急いで走った。どこへという事もなく兎に角その場から離れたかった。
二人が見つめ合って笑っているその現場から少しでも遠くへと離れたかった。
いつの間にか自分のマンションへと帰って来ていた茜は祖父から借りたマンションを見上げては溜息を吐いていた。
「どんなに豪華なマンションでも一人は寂しい。」
ポツリと呟いた茜の目尻に少しだけ涙が滲んでいた。