素敵な夜はあなたと・・・
レストランで軽めの食事をした二人。別段に盛り上がった会話はなかった。注文する際もその日のおススメランチを選んだことで会話は止まってしまった。
ランチが運ばれてくると本日のメインはスパゲティだった。茜は選んだメニューを間違えたと思った。かと言って出されたランチを食べないわけにもいかず、渋々と小さく口を開けると少しずつスパゲティを食べて行く。男の人との食事のスパゲティは最悪だと言う話を聞いたことがあった茜は思わず納得していた。
もごもご食べる茜はネズミのようで、その姿が優也には珍しくてずっと茜が食べるのを眺めていた。あっという間に食べ終わった優也は茜が面白くて退屈することはなかった。が、ここで笑ってしまったのが茜の気分を害してしまう。
「私、もういいです。」
フォークをお皿に戻すとナフキンで口元を拭き茜はさっさと立ち上がってしまった。
「まだ残っているよ。全部食べてしまいなさい。」
「いいえ、もう結構です。」
食べ方を笑われたと勘違いした茜はかなり不機嫌な顔をしてテーブルを離れ会計受付の方へと向かって行った。
「やれやれ、とんでもない甘やかされたお嬢様だ。」
優也は茜の後を追う様に会計へと向かった。会計では茜は自分の財布からお金を取り出し自分の分は支払うとお金を差し出した。