素敵な夜はあなたと・・・
このまま息が詰まる生活が続くのだろうかと優也も茜も毎日が辛いばかりだった。
茜はお風呂から上がると真っ暗なリビングへと行った。優也の部屋のドアから明かりが漏れていた。まだ優也が起きているのが分かる。
美佐に会えない日が続くと辛いのだろうなと思いながら優也の部屋のドアを眺めていた。しかし、物音一つしないその部屋を何時まで眺めていても茜にはどうすることも出来ない。
キッチンへ行って冷蔵庫から冷たい麦茶を取り出すとコップに注いで麦茶を飲んでいた。その冷たさが気持ちいいとキッチンから見えるリビングの窓の外の風景を眺めていた。
すると、優也が部屋から出てきた。電気も点けずにキッチンにいた茜に気付いていないようだ。優也もまたリビングの窓の外に一度目をやるとリビングから出て行った。
どこへ行くのかと優也の足音に聞き耳を立てていると、その足音は玄関から外へと向かって行った。
こんな夜中にどこへ行くのかと茜は不信に感じたが、行き先は一つしかないと頭の中では分かっていた。
「私は許されなくて自分は逢引するんだから。不公平よね・・・・」
優也と美佐が抱き合うあの場面を思い出した茜はあまりの悔しさにコップを流し台の中に投げ捨てた。その衝撃にコップは割れてその破片が飛び散り茜の手にも跳ね返って来た。