素敵な夜はあなたと・・・
無事に目玉焼きが出来るとお皿に乗せた玉子の隣にレタスが飾られた。そして優也が焼いたハムを更に重ね、取りあえずこれで出来上がりだ。
トースターで焼いた食パンを並べると朝食の準備は完了。
「あ、コーヒーを淹れるわね。え・・・と、どうやるの?」
勢いでコーヒーカップを取りに食器戸棚の前まで行ったのはいいが、コーヒーを淹れるコーヒーメーカーが見当たらない。
これまでは、茜がコーヒーを飲みたいと思った時は母親はいつもコーヒーメーカーのサーバーに沢山のコーヒーを温めてくれていた。茜や家族が飲みたいだろうなと思う時にはいつも準備は整っていたのだ。
だから、飲みたい時にはいつもサーバーで温められていたコーヒーを直ぐに飲めた。
けれど、ここには母いない。自分でコーヒーも淹れなければならない。
「飲みたい時だけこれで飲むんだよ。」
優也が取り出したのはコーヒーメーカーではなかった。ドリップ式のコーヒーでその都度挽いた豆を入れてお湯をかけるもの。
茜は優也のやり方を見ながらコーヒーの淹れ方を必死で覚えようとしていた。
「へーそれと重ねてその紙を敷くのね。そこへ豆を入れて・・・・・面白い」
茜の反応一つ一つがとても新鮮で優也はしばらくは面白い生活が続くのだろうなと思った。