クールなCEOと社内政略結婚!?
プロローグ
五月の爽やかな風が吹くなか、私は髪が乱れるのも気にせずに、昼下りのオフィス街を全力疾走していた。
あぁ、ちゃんと時間を確認しておくんだった……。
今さら後悔しても遅いとは思うものの、そう思わずにはいられない。午後から会議があることはわかっていたはずなのに、うっかり時間を確認し忘れるなんて。
こんな初歩的なミス、入社して五年も経っているのに許されるわけない。
集中すると没頭しすぎるこの性格、どうにかしないと。
私、宗次あさ美、(むねつぐあさみ)二十七歳――はそんな後悔交じりの自己反省をしながら、会社にたどり着いた。さすがにロビーに入ってまで、自慢の脚力を披露する訳にはいかないので、早足でエレベーターを目指す。
途中知った顔を見つけては、挨拶を交わしながら、腕時計を確認すると会議の時間が差し迫っていた。
……まずい。急がなきゃ。
腕時計から顔を上げて、足を早めようとした途端、ドシンとなにかにぶつかった。
「わっ」
その瞬間、抱えていたスケッチブックが私の手から離れる。
すり抜けたスケッチブックにはさんであった紙が、バラバラと派手に大理石の上に散らばった。
あぁ、ちゃんと時間を確認しておくんだった……。
今さら後悔しても遅いとは思うものの、そう思わずにはいられない。午後から会議があることはわかっていたはずなのに、うっかり時間を確認し忘れるなんて。
こんな初歩的なミス、入社して五年も経っているのに許されるわけない。
集中すると没頭しすぎるこの性格、どうにかしないと。
私、宗次あさ美、(むねつぐあさみ)二十七歳――はそんな後悔交じりの自己反省をしながら、会社にたどり着いた。さすがにロビーに入ってまで、自慢の脚力を披露する訳にはいかないので、早足でエレベーターを目指す。
途中知った顔を見つけては、挨拶を交わしながら、腕時計を確認すると会議の時間が差し迫っていた。
……まずい。急がなきゃ。
腕時計から顔を上げて、足を早めようとした途端、ドシンとなにかにぶつかった。
「わっ」
その瞬間、抱えていたスケッチブックが私の手から離れる。
すり抜けたスケッチブックにはさんであった紙が、バラバラと派手に大理石の上に散らばった。
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