クールなCEOと社内政略結婚!?
 俊介は、小さい頃うちのアパートの近くに住んでいたのがきっかけで、私の面倒をよく見てくれるようになった。

 小さいころは、家庭環境のことでいわれのない中傷を受けることがあったが、そんなときいつも俊介がかばってくれていた。自分がいじめるのはいいけど、他人がいじめるのは許せないと言ったのが、すごく印象的だった。
 
 結局、高校三年まで同じ学校に通い、「面倒だ」と言いながらも、なにかあればいつも助けてくれていた。成績が落ちたときも勉強を教えてくれたし、失恋したときも慰めてくれた。ひとりっ子の私にとっては兄弟みたいなものだ。
 
 そんな俊介が、高校卒業後ニューヨークに留学し、数年後父の会社で働いていると知ったときは、本当に驚いた。
 
 今は、父の数名いる秘書のひとりとして、身の周りの世話をしているらしい。
 
「ちょっと、おちついて。ね?」

 私の渡したハンカチで、びちょびちょの顔をごしごしと拭ふいている。

「う……なお美……。亡くなる前にもう一度会いたかった。もう一度あのおっぱいに顔をうずめたかったぁああ」

 ……変態。
 
この人の血が自分に流れていると思うと、頭が痛くなる。だから極力考えないようにした。
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