クールなCEOと社内政略結婚!?
「いただきます」

 リビングのテーブルに並べた料理を前に、私と孝文が手を合わせた。

 オムライスとサラダ、それに冷蔵庫にあったチーズを並べて、食事を始めた。

 何も言わずに、もくもくとスプーンを口に運んでいる姿に思わず顔がほころんでしまう。自分の作った料理を食べてもらうのが、こんな嬉しい気持ちになるなんて、新しい発見だ。

 食事を終えた私たちは、冷蔵庫からチーズとワインを持ってきて、改めて乾杯をした。

「誕生日おめでとう」

「ありがとう」

 なんだかくすぐったくて、はにかんでしまう。

「せっかくの誕生日なのに、こんなになって悪かったな」

「いいよ。別に。これはこれで楽しいし」

「そうか。まぁ、もとはといえばお前が、俺の誘いを断って、あの男と会うのが悪い」

「あの男って俊介?」

 名前を出した途端、孝文の顔が不機嫌になる。あれ……もしかして。

「昨日の朝、機嫌が悪かったのってそのせい?」

 今日の予定を聞かれた後から、急に不機嫌になり、コーヒーも飲まずに仕事に行ってしまった。

「はぁ? 別に機嫌なんか悪くない。ただお前が嬉しそうにアイツの話しするのが気に入らないだけだ。一応結婚してるんだから、自覚を持った行動をしろ」

 ますます不機嫌になっていく様が面白くて、クスクスと笑ってしまう。孝文はそんな私を睨みつけた。

 まずいこれ以上笑うと、きっともっと不機嫌になるだろう。
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