クールなCEOと社内政略結婚!?
「痛いっ！」

　鼻に痛みを感じて目を開けると、孝文の満足気な視線とぶつかる。

「なに、期待してんだよ。スケベ」

「な、期待なんてしてないっ！」

　孝文にかじられた鼻を手で押さえて、のしかかっていた孝文を押しやると、私は立ち上がって寝室へ向かう。

「いい加減、私で遊ぶのやめてよ。あんまりこういの慣れてないんだから。もう寝るから、こっち入ってこないで」

「おい、俺はどこで寝るんだよっ！」

「知らないっ！！」

　私は寝室のドアを勢いよく閉じると、すぐにベッドにダイブした。

　いつもああやって、私をからかってきて。バカにするにもほどがある。それにそういうことをされても、嫌じゃないって心のどこかで思っている自分がいることにさっき気がついてしまった。

　うつ伏せになって枕に顔をうずめる。こんな気持ち気がつきたくなかったし、孝文には知られたくない。彼は私をおもちゃ程度にしか思ってないのだから……。

　混乱した自分の気持ちを代弁するかのように、窓にたたきつけられる雨の音がどんどん激しさを増していく。しばらくするとゴロゴロと雷の音まで聞こえてくる。
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