クールなCEOと社内政略結婚!?
 ……嵐の夜は苦手だ。

 小さいころから、ひとりで留守番することも多かった。だから普段は平気なのに、雷の音を聞くと不安になってしまう。それはこの歳になっても変わらない。

 布団を引っ張り上げて、雷の音が聞こえなくなるまで耐えるしかない。灯りをつけたままひとりベッドで丸く小さくなった。

 しかし、私の願いは届かずに雷の音はどんどん近づいてきていた。ぐっと布団を握り締めて耐えていたけれど、ドーンというお腹に響くほどの大きな音が鳴り響いたあと、部屋の電気がプツンと消えた。

「やだ、うそ……」

 心細さが増していく。いつもひとりで耐えてきたのだから、今回だって同じことだ。ギュッと目をつむって我慢していたが、大きな音が鳴るたびに、私は小さく悲鳴を上げてしまう。

「おい、大丈夫か?」

 雷の音に交じって、扉の向うから孝文の声が聞こえた。

「だ、大丈夫、いやっ」

 返事をしようと顔を出した瞬間、部屋のに青白い光が差し込んで同時に大きな音が鳴り響く。

「きゃあ!」

 急いで布団をかぶって、少しでも雷の音を遮ろうとした。しかし、かぶったばかりの布団が瞬時にはぎとられた。

「大丈夫じゃないだろう」

 そこには心配そうに私の顔を覗きこむ孝文の顔があった。それまで感じていた不安が和らぐ。
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