クールなCEOと社内政略結婚!?
それでも見知らぬ男性の元に身を寄せることは、中学三年だった私にとっては簡単なことではなかった。しかし、母の死を悲しまない親戚にたらいまわしにされるよりは、母の死を全身全霊で悲しんでくれているこの男性を信じたいと思った。
そして、あのとき自分の直感を信じて正解だったのだと今もそう思えた。
「お父……パパはどうして、お母さんと結婚しなかったの? だって、今でもそんなに泣き叫ぶくらい好きなんでしょう?」
ずっと疑問に思っていたことを、今更ながらぶつけてみた。なんとなく大人に事情があるのは分かっていたけれど、これまで確信には触れてこなかったこと。なぜだか聞きたくなったのは、今年母や自分を産んだ歳に追いついたからかもしれない。
「私の両親がなお美との結婚を反対していてね。それでも私は一緒に添い遂げるつもりだった。けれど『なお美がいればなにもいらない』と言った翌日、彼女は私の元から消えたんだ。私の部屋にあった金目のものを根こそぎ持ってね」
「うそっ! お母さんはそんなことしないっ!」
衝撃的な事実に驚いて大きな声を上げた。
「私もそう思ったよ。でもその頃の私は、なお美に裏切られたと思い、父親の会社を継ぐべくニューヨークへ旅立った」
父が目の前にある、グラスワインを傾けながら話を続ける。
そして、あのとき自分の直感を信じて正解だったのだと今もそう思えた。
「お父……パパはどうして、お母さんと結婚しなかったの? だって、今でもそんなに泣き叫ぶくらい好きなんでしょう?」
ずっと疑問に思っていたことを、今更ながらぶつけてみた。なんとなく大人に事情があるのは分かっていたけれど、これまで確信には触れてこなかったこと。なぜだか聞きたくなったのは、今年母や自分を産んだ歳に追いついたからかもしれない。
「私の両親がなお美との結婚を反対していてね。それでも私は一緒に添い遂げるつもりだった。けれど『なお美がいればなにもいらない』と言った翌日、彼女は私の元から消えたんだ。私の部屋にあった金目のものを根こそぎ持ってね」
「うそっ! お母さんはそんなことしないっ!」
衝撃的な事実に驚いて大きな声を上げた。
「私もそう思ったよ。でもその頃の私は、なお美に裏切られたと思い、父親の会社を継ぐべくニューヨークへ旅立った」
父が目の前にある、グラスワインを傾けながら話を続ける。