クールなCEOと社内政略結婚!?
壇上では孝文が社員に向けて、今後のアナスタシアの向かう方向について熱心に話をしていた。全体に話しかけるようにしたかと思うと、ひとりひとりの目を見るようなそぶりを交え、自分の思いや考えを社員に伝えていた。ここにいる全員を引っ張っていくのが目の前いる社長であり、自分の夫である。
誇らしいと思えるほど、彼と私の関係が濃密だとは思わない。けれど最近の私はこの立派な男性の隣にいても恥ずかしくない女性になろうと、結婚に対して前向きに捉えていた。
話し終えた孝文が、壇上の席に着く。本来ならば入れ替わり次に話す専務兼・営業本部長の話を聞かないといけないのだけれど、視線は壇上にいる孝文に向けられたままだった。
「なんだか、少し見ないうちに変わっちゃったな」
雅さんの小さなささやきが聞こえてきた。
「社長ですか? 確か大学の同級生だって聞いたんですけど」
思わず反応してしまう。
「そうだけど……誰から聞いたの?」
雅さんの不思議そうな顔を見て「しまった」と思う。孝文から聞いたとはもちろん言えない。
「いや、噂ですよ。噂」
慌てて取り繕う。
「そうなの? まぁ隠してる訳じゃないから知っていてもおかしくないんだけどね」
笑顔の雅さんを見て、安心した。これからはもっと言動に注意しないと……気持ちを引き締めて、私は会議に集中した。
誇らしいと思えるほど、彼と私の関係が濃密だとは思わない。けれど最近の私はこの立派な男性の隣にいても恥ずかしくない女性になろうと、結婚に対して前向きに捉えていた。
話し終えた孝文が、壇上の席に着く。本来ならば入れ替わり次に話す専務兼・営業本部長の話を聞かないといけないのだけれど、視線は壇上にいる孝文に向けられたままだった。
「なんだか、少し見ないうちに変わっちゃったな」
雅さんの小さなささやきが聞こえてきた。
「社長ですか? 確か大学の同級生だって聞いたんですけど」
思わず反応してしまう。
「そうだけど……誰から聞いたの?」
雅さんの不思議そうな顔を見て「しまった」と思う。孝文から聞いたとはもちろん言えない。
「いや、噂ですよ。噂」
慌てて取り繕う。
「そうなの? まぁ隠してる訳じゃないから知っていてもおかしくないんだけどね」
笑顔の雅さんを見て、安心した。これからはもっと言動に注意しないと……気持ちを引き締めて、私は会議に集中した。