クールなCEOと社内政略結婚!?
その日の夕方、私と孝文はお母様から呼び出されて孝文の実家に向かっていた。
私に電話をかけてきた孝文は、声だけでも不機嫌なことがわかった。しかし私の誕生日の不義理を持ちだされて、断り切れなかったらしい。
孝文の運転する車で、お母様の待つ実家に到着するころには、すでに二十時を回っていた。
高い塀に囲まれた洋館は、年代を感じさせたがそれがまたクラシカルな雰囲気を漂わせていた。
孝文が扉を開けると、茶色い塊が飛び出してきた。
「きゃあ」
突進してきたそれを抱きとると、ベロベロと顔を舐め回される。
「こら、あずき。俺はこっちだ」
孝文が私の顔を舐め回す塊を退けると、やっとそれが犬だということがわかった。毛並みが綺麗なゴールデンレト
リバーだ。名前は〝あずき〟と言うらしい。
今度はちぎれるほど尻尾をふりながら、孝文の顔を舐めていた。
「いらっしゃ~い」
玄関先で騒いでいると、お母様が笑顔で出てきてくれた。気の利いた手土産も思いつかず、準備した花束を差し出すと「嬉しいっ!」と声をあげて私を強く抱きしめた。
「ぐ……、よかったです」
思わぬ強さで抱きしめられて、潰された体から間抜けな声が出たが、お母様はまだ熱い抱擁を続けている。
私に電話をかけてきた孝文は、声だけでも不機嫌なことがわかった。しかし私の誕生日の不義理を持ちだされて、断り切れなかったらしい。
孝文の運転する車で、お母様の待つ実家に到着するころには、すでに二十時を回っていた。
高い塀に囲まれた洋館は、年代を感じさせたがそれがまたクラシカルな雰囲気を漂わせていた。
孝文が扉を開けると、茶色い塊が飛び出してきた。
「きゃあ」
突進してきたそれを抱きとると、ベロベロと顔を舐め回される。
「こら、あずき。俺はこっちだ」
孝文が私の顔を舐め回す塊を退けると、やっとそれが犬だということがわかった。毛並みが綺麗なゴールデンレト
リバーだ。名前は〝あずき〟と言うらしい。
今度はちぎれるほど尻尾をふりながら、孝文の顔を舐めていた。
「いらっしゃ~い」
玄関先で騒いでいると、お母様が笑顔で出てきてくれた。気の利いた手土産も思いつかず、準備した花束を差し出すと「嬉しいっ!」と声をあげて私を強く抱きしめた。
「ぐ……、よかったです」
思わぬ強さで抱きしめられて、潰された体から間抜けな声が出たが、お母様はまだ熱い抱擁を続けている。