クールなCEOと社内政略結婚!?
「ふたりの恋、うまくいくといいですね」
無邪気な梨花ちゃんの言葉に、この場は「うん」と答えるべきだ。そんなことわかっているのに――できない。
今まで夫婦だからという理由で孝文の横に立っていたけれど、本来その場所は雅さんのための場所だったとしたら……?
私はすぐに、彼の横を雅さんに差し出すことができるのだろうか?
考えただけで、胸が締め付けられて痛い。最初は彼の横に立つのは、仕方なくだった。それなのに今となっては、その場所を離れることがこんなにも辛いなんて……。
「大丈夫ですか? なんか顔色悪いですよ」
私の様子が変なことに、敏感な梨花ちゃんが気がついた。
「ううん。なんでもないの。遅れるといけないからもう行くね」
私は気持ちを落ち着かせるためにひとりになろうと、一足先にロッカールームを出た。
昨日、早めに切り上げたせいで朝からフル回転で仕事をこなす。取引先との打ち合わせが長引き、ランチをする時間もない。
午後にも社内ミーティグがある私は急いでコンビニで調達したおにぎりをかじると、打ち合わせで使った部屋をミーティング仕様に変更するべく机を動かしていた。
みんな忙しそうにしていて、なかなか声をかけづらい。それに今は仕事をしていたほうが余計なことを考えなくて済む。
「手伝うわね」
一生懸命机を動かしているとき、背後から声がかけられた。振り向くとそこに立っていたのは雅さんだった。
今、あまり会いたくない人だ。
「ありがとうございます」
いつもよりも小さな声になってしまった。
――いけない、いつもどおりにしないと。
無邪気な梨花ちゃんの言葉に、この場は「うん」と答えるべきだ。そんなことわかっているのに――できない。
今まで夫婦だからという理由で孝文の横に立っていたけれど、本来その場所は雅さんのための場所だったとしたら……?
私はすぐに、彼の横を雅さんに差し出すことができるのだろうか?
考えただけで、胸が締め付けられて痛い。最初は彼の横に立つのは、仕方なくだった。それなのに今となっては、その場所を離れることがこんなにも辛いなんて……。
「大丈夫ですか? なんか顔色悪いですよ」
私の様子が変なことに、敏感な梨花ちゃんが気がついた。
「ううん。なんでもないの。遅れるといけないからもう行くね」
私は気持ちを落ち着かせるためにひとりになろうと、一足先にロッカールームを出た。
昨日、早めに切り上げたせいで朝からフル回転で仕事をこなす。取引先との打ち合わせが長引き、ランチをする時間もない。
午後にも社内ミーティグがある私は急いでコンビニで調達したおにぎりをかじると、打ち合わせで使った部屋をミーティング仕様に変更するべく机を動かしていた。
みんな忙しそうにしていて、なかなか声をかけづらい。それに今は仕事をしていたほうが余計なことを考えなくて済む。
「手伝うわね」
一生懸命机を動かしているとき、背後から声がかけられた。振り向くとそこに立っていたのは雅さんだった。
今、あまり会いたくない人だ。
「ありがとうございます」
いつもよりも小さな声になってしまった。
――いけない、いつもどおりにしないと。