クールなCEOと社内政略結婚!?
 だったら、ひとりで悩むよりも何の解決にならなくても、誰かと一緒にいるほうがいいに決まっている。

 私は俊介の申し出を受け入れて、一緒に飲みに行くことにした。

 連れてこられたのは、会社からそう遠くない居酒屋だった。

 扉をあけるとすぐに元気のいい「いらっしゃいませ」が聞こえてきた。今の自分のとの温度差を感じて、一瞬足がとまったがそれに気がついた俊介が背中を押してくれる。

 空いていた席に座ると、すぐに店員さんが注文を聞きに来てくれる。私の好みを把握している俊介は、私がなにも言わなくても私のぶんもすぐに注文してくれた。

 目の前にビールと枝豆、それにもつ煮込み……定番のつまみが何品か並ぶと「おつかれ」と俊介がジョッキをぶつけてきた。

「いいから、とりあえず飲め。そして食え」

 私に無理矢理箸を持たせると、目の前の取り皿にいろいろとよそってくれた。

 昔からこの励まし方、変わらないな。

 なんだか懐かしくなり、勧められるままビールを一気に煽った。半分くらい呑んでテーブルにジョッキを置くと
「その調子」と笑顔の俊介が言った。

 俊介もあっという間に一杯目のジョッキを空にすると、お代わりを頼んだ。私も目の前のもつ煮込みを食べながらビールを飲む。

 すると俊介はニューヨークの話をし始めた。私は相づちを打ちながら、俊介の話しを聞いた。
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