クールなCEOと社内政略結婚!?
「そんなっ!」

 世間って……孝文がどう思うかじゃなくて、他人の目が気になるっていうの?

「だったら――」

「なんだ」

「だったら、私なんかと結婚しなければよかったじゃない。なんでもいうことを聞く――孝文の思い通りになる相手と結婚すればよかったのじゃないの!」

 言ってはいけない言葉だということは分かっていた。けれど我慢できずに言ってしまった。

 そして逃げるように寝室に駆け込み、ベッドに飛び込んだ。

 こんなこと言いたかったわけじゃない。ちゃんと話しをして、あのときの状況を孝文の口から説明して欲しかった。それなのに、どうしてこんなことになってしまったんだろう。

 枕にどんどん私の涙が染みこんでいく。少しすると孝文が部屋を出て行く音がした。

 ――なんの反応もしてくれないんだ。
 
 怒るわけでもなく、謝るわけでもない。
 
 彼はただ私を無視して仕事に言ってしまった。きっと面倒な女だと思ったに違いない。

「うっ……ぅう」

 嗚咽が漏れ、涙があふれる。

 結局私は、孝文にとってその程度のものだったんだ。

 そう思うとますます涙が止まらなくなってしまい、遅刻ギリギリにひどい顔で出社することになってしまった。
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