クールなCEOと社内政略結婚!?
「ねぇ、他に誰が来るの?」

「誰が? って……相手だよ」

 逆に不思議そうな顔をされても困る。

「だから、なんの相手なの?」

「なに言ってるんだ、あさ美。お見合いに相手は不可欠だろう?」

 たしかにそうだ、見合いなんてひとりでできない。しかし、私はまだこの期に及んで置かれている状況が理解できずにいた。いや、理解したくなかったのかもしれない。

「み、見合いって……パパの?」

「なにバカなこと言ってるんだ。パパの愛はなお美だけのものだよ」

 にっこりと笑われても、困る。バカなことを言っているのはどっちだ。

「そんな、私なにも聞いてないよ」

「あれ、そうだったっけ?」

 悠長に目の前に出されたお茶を飲む父を、精一杯にら見つけたが、本人はどこ吹く風だ。埒があかないと思った私は、その場に立ちあがり部屋を出ることにした。

「お父さん、勝手なことしないでっ! 私、帰るから」

「パパと呼びなさいと、何度言ったらわかるんだ?」

 今そこ、議論するところ?

 これ以上なにを言っても無駄だ。私は勢いよくスパンと障子を開けようとしたが、空振りに終わる。
< 17 / 239 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop