クールなCEOと社内政略結婚!?
指定されたのは会社から電車で十分ほど離れた駅だった。おそらく孝文はここまで車でくるつもりなのか、駅前には広いロータリーがあった。
待ち合わせの十九時半まであと十分。まだ孝文の姿はなかった。
私は比較的人通りの少ない携帯会社の看板を背にして、他の人の邪魔にならないように彼を待つ。
時計の針がどんどん進むほどに、私の不安が大きくなる。
目の前をたくさんの人が行き交う――しかしその中に私の待っている人はいない。
今頃……雅さんと一緒にいるんだろうか? 孝文は仕事だと言っていたけれど、雅さんは違う。私へのあてつけのために理由を付けて孝文を呼び出したのだ。
そのときポケットの中で、スマホが震えた。取り出すとディスプレイには孝文の名前。嫌な予感がする。
通話ボタンをタッチすると、向こうから孝文の声が聴こえる。
『あさ美? 悪いな、今日の予定キャンセルだ』
予想通りの内容に、胸がつぶれそうになる。
「どうして?」
冷静に理由を聞いた。もしかしたらと一縷の希望にかけた。
『仕事だ、悪い』
「仕事? それって、誰と?」
『どうしてそんなこと聞くんだ?』
ごまかそうとしてる? それって、やっぱり今日会う相手は雅さんなんだ。
「もういい。私、待ってるから。孝文が来るまで、ずっと待ってる」
『おい、あさ美――』
電話口では彼の声がまだ聞こえてきていたけれど、私は電話を切って空を仰いだ。
待ち合わせの十九時半まであと十分。まだ孝文の姿はなかった。
私は比較的人通りの少ない携帯会社の看板を背にして、他の人の邪魔にならないように彼を待つ。
時計の針がどんどん進むほどに、私の不安が大きくなる。
目の前をたくさんの人が行き交う――しかしその中に私の待っている人はいない。
今頃……雅さんと一緒にいるんだろうか? 孝文は仕事だと言っていたけれど、雅さんは違う。私へのあてつけのために理由を付けて孝文を呼び出したのだ。
そのときポケットの中で、スマホが震えた。取り出すとディスプレイには孝文の名前。嫌な予感がする。
通話ボタンをタッチすると、向こうから孝文の声が聴こえる。
『あさ美? 悪いな、今日の予定キャンセルだ』
予想通りの内容に、胸がつぶれそうになる。
「どうして?」
冷静に理由を聞いた。もしかしたらと一縷の希望にかけた。
『仕事だ、悪い』
「仕事? それって、誰と?」
『どうしてそんなこと聞くんだ?』
ごまかそうとしてる? それって、やっぱり今日会う相手は雅さんなんだ。
「もういい。私、待ってるから。孝文が来るまで、ずっと待ってる」
『おい、あさ美――』
電話口では彼の声がまだ聞こえてきていたけれど、私は電話を切って空を仰いだ。