クールなCEOと社内政略結婚!?
 すでにキスだけで翻弄されていた私の体は、それ以上のことに力が抜けて立っていられなくなる。私はすがるように孝文の首に腕を回し、必死で彼のキスに応えようとしていた。

 繰り返されるキスに彼以外のことが考えられなくなる。情熱に溶かされた私の体に力が入らなくなり崩れ落ちそうになった私を孝文が抱きかかえた。

「行くぞ」

 私を抱いたままの孝文が、自分の寝室を目指す。入り口で私を下ろすと扉を開けた。そしてそのまま私たちはもつれるようにして、ベッドへと移動した。

 いつも香る孝文のより強い匂いに包まれる。私はひとときも孝文から目が離せなかった。

 孝文は私にまたがったまま、ネクタイをはずして床に投げすてた。それを床に落ちたネクタイを見ているとそれにかぶさるように、シャツが落ちてくる。

「よそ見するなんて、ずいぶん余裕だな」

 孝文の声に視線を彼に戻すと、均整のとれた彼の体が目に入りとっさに目をそむけた。その色香にめまいがしそうだ。

「ちゃんと、俺を見て、感じて」

 最後に残っていた衣服を剥ぎ取られ、お互いの素肌が密着する。その心地よさに大きく息を吐いた。

 彼の腕の中でその温度を感じていると、胸の中に渦巻いていた不安や嫉妬でドロドロした気持ちが消えてなくなっていく。代わりに溢れ出る好きの気持ちが止まらない
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