クールなCEOと社内政略結婚!?
「孝文……好き」

 思わず口にした私の言葉に、一瞬驚いたような表情をしたあと顔を私からそむけた。よそ見するなといったのは、孝文なのに。よく見ると彼の耳が赤くなっている。

「お前、今そういうこと言うの反則だろう、もうどうなってもしらねーからな」

 その宣言通りに彼は私をあますところなく、愛していく。自分でも驚くような声をあげ、それさえも奪うような口づけに苦しさと喜びを感じた。

「あさ美……」

 彼が私の耳元でそうつぶやくと、私たちはひとつになった。

 これが私たち夫婦が初めて、本物の夫婦として結ばれた瞬間だった。
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