クールなCEOと社内政略結婚!?

「お昼どうしようか? 何か作ろうか?」

「いや、外で食べよう。支度して来いよ」

 甘い気だるさのなか、ベッドから起きだしバスルームに向かった。孝文の部屋から出てると、床に落ちている自分の洋服に気がついた。玄関先で早急に求められた事を思い出して、思わず赤面してしまう。

 仲直りしたいと思ってはいたけれど、まさか一気にここまで関係が進むとは思ってもいなかった。

 シャワーを終えてクローゼットを開き、洋服を選び姿見の前に立った。昨日となにも変わらないはずだ。けれど浮足立つような体の奥から湧き上がるような喜びが私を変えてみせた。

「おい、早くしろ」

 扉の向こうから孝文が声をかけてきた。なんかこれも夫婦っぽいな。

「夫婦か……」

 これまでまったく実感がわかなかったふたりの関係が、はっきりしたものに感じた。私は手っ取り早くワンピースで着替えを済ませると、バッグをひっつかんで孝文のもとへ急いだ。

 ふたりで訪れたのは、マンションから近くのカフェだった。一度来てみたいとはおもっていたけれど、なかなか訪れるチャンスがなかった店だ。私は孝文に開けてもらった扉をくぐり店内に入った。

 思っていたよりも広く、すっきりとしたシンプルなインテリアだった。テーブル同士の間隔も広く賑わってはいたけれど、ゆったりと過ごせそうだ。

 案内された席に向かい合って座る。孝文はクラブハウスサンドを、私はフレンチトーストを注文した。
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