クールなCEOと社内政略結婚!?
 だけど、孝文はそんなことをしない。私がどれだけあのデザインにこだわっていたのか知っているのに、そんなことするはずがない。

「あまり彼を信用しすぎないことね。あ、あのデザインよく出来てるわ。私のだって言っても誰も気が付かないくらいにはね。じゃあ」

 雅さんは私を傷つける言葉を残して、部屋を出ていった。

 残された私は唇を噛み拳を強く握り、耐えるしかできない。

 自分はなんて無力なんだろう。孝文に頼らなければ、問題ひとつ解決することができないなんて。

 それに雅さんの言ったことがひっかかる。

『あまり彼を信用しすぎないことね』

 雅さんの声でリフレインされる。私はそれを振り払うように頭を振った。

 そんなはずない。孝文は……私の味方だ。

 私は自分に言い聞かせるように、何度も何度もそうつぶやいた。
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