クールなCEOと社内政略結婚!?
③素敵な政略結婚
翌日――。熱が下がりきらなかった私は入社後初めて会社を休んだ。
ベッドで父が連れてきた名医に診察してもらい、薬を処方してもらい安静にしていると夕方には熱もすっかり下がった。
ノックの音がして返事をすると、俊介が顔を見せた。
「どうだ? 調子は。ほら、食えよ」
私にカットした桃を差し出しながら、ベッドサイドにある椅子に腰掛けた。
「ありがとう。体はずいぶんよくなった。俊介こそ仕事は大丈夫なの?」
「お前のわがままな親父殿を会議に押し込んでから来たから、後一時間くらいは大丈夫だ。それよりお前、スマホの電源切りっぱなしだろ? 様子を窺おうにもこれじゃ連絡がとれないだろうが」
枕元に置いてある私のスマホを顎で示しながら言った。
「ごめん……うっかりしてて」
「本当に? 電源を入れない理由があるんじゃないのか?」
スバリ言い当てられて、言葉に詰まってしまう。
「ちゃんとしなくていいのか? アイツのこと」
俊介は私がここに来た理由をわかっているみたいだった。まぁ、こんな形で家に帰らないのだ。予想はつくだろう。
「私たちね……ダメだと思う。最初から無理だったんだよ。心のない政略結婚だなんて」
自分で話していて、胸が痛む。いつかこの痛みが思い出に変わる日がくるのだろうか。その日がくるまで、私はこの痛みに耐え続けなくてはいけないのだろうか。
ベッドで父が連れてきた名医に診察してもらい、薬を処方してもらい安静にしていると夕方には熱もすっかり下がった。
ノックの音がして返事をすると、俊介が顔を見せた。
「どうだ? 調子は。ほら、食えよ」
私にカットした桃を差し出しながら、ベッドサイドにある椅子に腰掛けた。
「ありがとう。体はずいぶんよくなった。俊介こそ仕事は大丈夫なの?」
「お前のわがままな親父殿を会議に押し込んでから来たから、後一時間くらいは大丈夫だ。それよりお前、スマホの電源切りっぱなしだろ? 様子を窺おうにもこれじゃ連絡がとれないだろうが」
枕元に置いてある私のスマホを顎で示しながら言った。
「ごめん……うっかりしてて」
「本当に? 電源を入れない理由があるんじゃないのか?」
スバリ言い当てられて、言葉に詰まってしまう。
「ちゃんとしなくていいのか? アイツのこと」
俊介は私がここに来た理由をわかっているみたいだった。まぁ、こんな形で家に帰らないのだ。予想はつくだろう。
「私たちね……ダメだと思う。最初から無理だったんだよ。心のない政略結婚だなんて」
自分で話していて、胸が痛む。いつかこの痛みが思い出に変わる日がくるのだろうか。その日がくるまで、私はこの痛みに耐え続けなくてはいけないのだろうか。