クールなCEOと社内政略結婚!?
「最初はそうでも、今は違うんじゃないのか?」
「え? 何言ってるのよ……」
「お前の気持ちはどうなんだよ。つらそうにしてたけど、それでも傍にいようと努力してただろ? 気持ちがないとそんなこと出来ないはずだ」
何度か俊介には励ましてもらったのを思い出す。しかしそれも今となっては無駄になってしまった。
あのころ言い争ってもお互い歩み寄っていたのは、夫婦という礎があったからだ。しかしそれが失くなってしまった――正確には最初からなかったのだけれど――今となっては、それさえも出来ない。
「私だけ頑張ったって仕方ないじゃない。私だけ好きでいたって仕方ないじゃない。片方の気持ちだけじゃ成り立たないんだよ。結婚って」
そう、私がいくら孝文のことを好きでも上手く行くはずがない。彼は父の財力が欲しかっただけ。いずれは本当に好きな人と……。
そこまで考えて、砕けそうになる心をなんとかしようと桃を口に運んだ。
「あ、この桃美味しい。俊介ちゃんと覚えていてくれたんだね。私が桃好きだって。時期も終わったから探すの大変だったんじゃない?」
ごまかすように早口で話題を変えた。
「え? 何言ってるのよ……」
「お前の気持ちはどうなんだよ。つらそうにしてたけど、それでも傍にいようと努力してただろ? 気持ちがないとそんなこと出来ないはずだ」
何度か俊介には励ましてもらったのを思い出す。しかしそれも今となっては無駄になってしまった。
あのころ言い争ってもお互い歩み寄っていたのは、夫婦という礎があったからだ。しかしそれが失くなってしまった――正確には最初からなかったのだけれど――今となっては、それさえも出来ない。
「私だけ頑張ったって仕方ないじゃない。私だけ好きでいたって仕方ないじゃない。片方の気持ちだけじゃ成り立たないんだよ。結婚って」
そう、私がいくら孝文のことを好きでも上手く行くはずがない。彼は父の財力が欲しかっただけ。いずれは本当に好きな人と……。
そこまで考えて、砕けそうになる心をなんとかしようと桃を口に運んだ。
「あ、この桃美味しい。俊介ちゃんと覚えていてくれたんだね。私が桃好きだって。時期も終わったから探すの大変だったんじゃない?」
ごまかすように早口で話題を変えた。