クールなCEOと社内政略結婚!?
　後悔しているだけで、本当にいいの？

　自分の心に問いかけてみた。このまま自分の気持ちを孝文に話さないままで、彼への思いを断ち切ることが出来るだろうか。

　答えは――すぐに出た。

「私、行かなきゃ」

　ベッドから立ち上がると、俊介が私の目の前に車のキーを見せた。

「送っていってやるから、三分で準備しろ」

「うん。わかった」

　私は返事をすると着替えを済ませ、部屋の外に出て俊介に声をかけた。

「おまたせ。面倒かけてごめんね」

「あ？　そんなの今更だろ、慣れてるよ。それより行くぞ、早く逢いたいんだろう」

「うん」

　駐車場に止めてあった車に乗ると、すぐに出発した。後部座席でソワソワしながらアナスタシアに到着するのをいまかいまかと待った。滞在していたホテルからそう遠くはないはずなのに、すごく長い時間に感じた。

　正面玄関に車が止まると、私はすぐに車から降りて駆け出そうとした。しかし踏み出した一歩を元に戻して、運転席の窓をコンコンとノックする。すぐに俊介がパワーウィンドウを下げてくれた。

「俊介。本当にありがとう。いつもいつもありがとう」

　しっかりと目を見て感謝の気持ちを伝えた。思い返せばずっと俊介が私を助けてくれていた。いくら感謝してもしたりない。
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