クールなCEOと社内政略結婚!?
「見合い相手の前で、他の男とイチャつくなんて、いい度胸だな」
「別にイチャついてなんか……」
振り返ると不機嫌そうな顔で、こちらを見ている社長の姿が目に入り、私は思わず言葉をのみ込んだ。
「座って」
「はい」
言われるままに従う。悔しいけれど、生まれついてからずっと人の上に立つ人間として育てられた彼には、抗いがたい威厳があった。
十五のときに急に〝お嬢様〟と呼ばれる立場になった私とは違うのだ。
とはいえ『天はひとの上にひとを作らず』だ。恐れることはない。この目の前の男が〝ひと〟だったらの話だけど。
さっさと話を終わらせてしまおう。社長もきっとそのつもりだし、断られるだけならそんなに時間もかからないだろう。
私がソファに座ると、スーツのポケットから社長が薄い紙をテーブルの上に差し出した。
「これを」
「はい」
深く考えずに、渡された書類を手に取り私は息をのんだ。しかし、その反動で次の瞬間自分でも驚くほどの声を上げた。
「こ、これ婚姻届じゃないですか!?」
驚いている私とは対照的に、社長はいたって冷静だ。その態度から今、私の手の中にある書類に間違いがないことがわかる。
「あの、あの……気は確かですか?」
私の言葉に眉間に皺を寄せた。
「別にイチャついてなんか……」
振り返ると不機嫌そうな顔で、こちらを見ている社長の姿が目に入り、私は思わず言葉をのみ込んだ。
「座って」
「はい」
言われるままに従う。悔しいけれど、生まれついてからずっと人の上に立つ人間として育てられた彼には、抗いがたい威厳があった。
十五のときに急に〝お嬢様〟と呼ばれる立場になった私とは違うのだ。
とはいえ『天はひとの上にひとを作らず』だ。恐れることはない。この目の前の男が〝ひと〟だったらの話だけど。
さっさと話を終わらせてしまおう。社長もきっとそのつもりだし、断られるだけならそんなに時間もかからないだろう。
私がソファに座ると、スーツのポケットから社長が薄い紙をテーブルの上に差し出した。
「これを」
「はい」
深く考えずに、渡された書類を手に取り私は息をのんだ。しかし、その反動で次の瞬間自分でも驚くほどの声を上げた。
「こ、これ婚姻届じゃないですか!?」
驚いている私とは対照的に、社長はいたって冷静だ。その態度から今、私の手の中にある書類に間違いがないことがわかる。
「あの、あの……気は確かですか?」
私の言葉に眉間に皺を寄せた。