クールなCEOと社内政略結婚!?
「じゃあ別に私でなくてもいいってことですよね? だったら、この話、断ってください」

「それは無理だな」

「どうして!?」

 私は敬語も忘れて、声を上げた。

「お前の親父さん――宗次さんには世話になった。その人の頼みだ、断れない」

 この話お願いしたの、お父さんだったの?

 一体どういうつもりで……。

「だったら、父がこの見合い話をなかったことにするなら、社長も納得しますよね?」

「あぁ」

 ニヤニヤと人をからかうような笑いを浮かべて返事をしている。そんな社長を前に私はバッグからスマホを取り出して、父へ電話をかけた。

 三コール目ですぐに、父の声が聞こえた。

『もしもし? あさ美。子作りは順調かい?』

「バカなの?」

 いつもなら、もう少しオブラートに包んだ返しができるんだけど、今はそんな余裕微塵もなかった。

『パパにそんな言葉を遣うなんて、親の顔がみたいな』

「どうぞ、鏡をご覧になってください。そんなくだらない話をしている暇なんてないんです。単刀直入に言いますけど、この見合い話、なかったことにしてください」

 いくら、ずっと離れて暮らしていたとはいえ、かわいい娘のたっての願いだ。きっと叶えてくれるはず。

『え、どうして? 孝文くんイケメンだろう?』

「いや、確かにそうだけど、でも結婚となれば別でしょう?」

『あさ美よく聞くんだ。若く見えるけどパパももう歳だ』

 若く見えるって自分で言っちゃったよ。
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