クールなCEOと社内政略結婚!?
『だから、早くこの手でなお美そっくりの孫を抱きたいだ』
「そんな、勝手なこと言わないでよ」
『勝手って、あさ美の結婚相手はパパが決めるって言う約束、忘れたのか?』
「はぁ? そんな約束いつ……ってもしかして」
ふと、いつか父と交わした約束が頭をよぎる。それは出会って間もなくだった。
中学三年生の私の進路を決めるとき、父が勧めるいわゆるお金持ちの子息が通う高校ではなく、自分の身の丈にあった高校へと進学することを許してくれた。それから大学、就職と父はいつも私の気持ちを優先してくれた。
しかし、そのたびに「結婚はパパの決めた相手とすること」なんていつもの調子で言うもんだから、どうせ本気じゃないんだろうなんて、適当にあしらっていたんだけど。
ま さ か の 本 気……
私はすり抜けていきそうになっている、最後の頼みの綱を握りなおそうと躍起になる。
「そんな子供のころの話されても困るよ」
『子供って言ったって約束は約束だ。パパはそんなふうにあさ美を育てた覚えはないよ』
そりゃそうだ。育てられた覚えもない。こんなときに限って正論をいう父にイラッとする。しかしここは落ち着いて説得しなければならない。
「そんな、勝手なこと言わないでよ」
『勝手って、あさ美の結婚相手はパパが決めるって言う約束、忘れたのか?』
「はぁ? そんな約束いつ……ってもしかして」
ふと、いつか父と交わした約束が頭をよぎる。それは出会って間もなくだった。
中学三年生の私の進路を決めるとき、父が勧めるいわゆるお金持ちの子息が通う高校ではなく、自分の身の丈にあった高校へと進学することを許してくれた。それから大学、就職と父はいつも私の気持ちを優先してくれた。
しかし、そのたびに「結婚はパパの決めた相手とすること」なんていつもの調子で言うもんだから、どうせ本気じゃないんだろうなんて、適当にあしらっていたんだけど。
ま さ か の 本 気……
私はすり抜けていきそうになっている、最後の頼みの綱を握りなおそうと躍起になる。
「そんな子供のころの話されても困るよ」
『子供って言ったって約束は約束だ。パパはそんなふうにあさ美を育てた覚えはないよ』
そりゃそうだ。育てられた覚えもない。こんなときに限って正論をいう父にイラッとする。しかしここは落ち着いて説得しなければならない。