クールなCEOと社内政略結婚!?
「他のことならまだしも結婚だなんて……」

『他のことはどうでもいいんだ。あさ美には幸せな結婚をして欲しい』

「だったら、こんな形の結婚するべきじゃないでしょう?」

『そうかもしれないな。しかしあさ美には浮いた話のひとつもないじゃないか。パパはこう見えてひとを見る目はある。だから安心して彼と結婚しなさい』

 だめだ、こうなったら最後の手段。

「パパ。お願いパパ。私の一生のお願い」

「ぶっ……。その歳でパパって」

 目の前に座るイケメンの顔が、笑いに耐えきれずに崩れ、大きな口をあけて笑い出した。

 人がこんなに必死になっているのに、大笑いとはなにごとだ。

 私は社長を睨むと、もう一度父に懇願した。

「パパ、私もう少しパパの子どもでいたいの。まだ結婚は早いと思うの」

『何を言っているんだ? あさ美はいつまでもパパの可愛い娘だよ。でも嬉しい。そんなにパパのことを思ってくれているなんて』

「でしょう? だから結婚は……」

『その調子で、パパに早く孫をみせておくれ。子作りがんばるんだぞ!』

 ブチン……頼みの綱が切れる音がした。

 ……終わった……。私の人生つんだ。
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