クールなCEOと社内政略結婚!?
「そうか」

 短い返事をした彼を見ると、こちらをずっと見つめていた。目が合うとフッと笑みをこぼしたが、その意味の理解に苦しむ。しかし彼が私との結婚にこだわった理由だけはわかった。

「社長は、父の後ろ盾が欲しいんですね? 私と姻戚関係を結べば父からの援助が受けやすい。それが社長にとってのメリットってことですか?」

 問い詰める私を見て、ますます笑顔になる。私はそれを見て眉間に皺を寄せた。

 人がこんなに不機嫌なのに、その原因を作っている張本人が笑うなんて失礼じゃないの?

「そんなひと昔前の政略結婚みたいな話おかしいですよ」

「〝みたいな〟じゃなくて、政略結婚だな」

 認めてしまうのか……。開き直ったな。

「ますます、よくないです。お願いですから考え直してください」

 こうなったら、泣き落としだ。

 私は両手を合わせ社長を拝んだ。

「正直、今日見合いするまでは迷っていた」

「だったら……」

 希望の光が見えたような気がして、下げていた頭をあげて満面の笑みを浮かべた。

「で、見合いして決めた。結婚する」

「どうして、そうなるんですか!?」

 めまいがして、私はこめかみを押さえた。

 今日の見合いを思い返してみても、私を嫁にしたいと思う要素などひとつもなかったはずだ。なのにどうして?
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