クールなCEOと社内政略結婚!?
第一章
①悲劇の種を蒔く男
会議室にはすでに、ブライダルデザイン部のメンバーが集まっていた。部屋はすでにスライドの準備がされていて、灯りが落とされている。それでも遅れてしまった私は、体を小さくして、頭を下げ謝罪しながら自分の席についた。
「もう、あさ美さん。遅いですよ」
隣に座る、私のアシスタントをしてくれている岡部梨花(おかべりか)ちゃんが、小声で話しかけてきた。
「ごめん……つい夢中になっちゃって」
後輩に叱られるなんて、情けない。しかし、いつもしっかりものの梨花ちゃんの言うことは正しい。
「デザインもいいですけど、時間はきちんと守ってくださいね。私が電話しないと、夕方まで戻ってこなかったかもしれませんね」
「そんな、大袈裟な」
あまりの言われように、苦笑を浮かべた私に、梨花ちゃんがため息をついた。
「それでは、秋冬コレクションに向けての会議を始めます」
進行役の一課の課長が、マイクをとり会議がスタートした。
私が勤めるこの【株式会社 アナスタシア】は現在の社長、浮田孝文のフランス人の祖母が創業者だ。ブランド名も彼女の名前「アナスタシア」からつけられている。
最初は社員が数名の、ウエディングドレスを作る小さな会社だった。しかし、その斬新かつ緻密なデザインが日本人を虜にし、数多の結婚式場から注文が入るようになり、急成長を遂げた。
「もう、あさ美さん。遅いですよ」
隣に座る、私のアシスタントをしてくれている岡部梨花(おかべりか)ちゃんが、小声で話しかけてきた。
「ごめん……つい夢中になっちゃって」
後輩に叱られるなんて、情けない。しかし、いつもしっかりものの梨花ちゃんの言うことは正しい。
「デザインもいいですけど、時間はきちんと守ってくださいね。私が電話しないと、夕方まで戻ってこなかったかもしれませんね」
「そんな、大袈裟な」
あまりの言われように、苦笑を浮かべた私に、梨花ちゃんがため息をついた。
「それでは、秋冬コレクションに向けての会議を始めます」
進行役の一課の課長が、マイクをとり会議がスタートした。
私が勤めるこの【株式会社 アナスタシア】は現在の社長、浮田孝文のフランス人の祖母が創業者だ。ブランド名も彼女の名前「アナスタシア」からつけられている。
最初は社員が数名の、ウエディングドレスを作る小さな会社だった。しかし、その斬新かつ緻密なデザインが日本人を虜にし、数多の結婚式場から注文が入るようになり、急成長を遂げた。