クールなCEOと社内政略結婚!?
 残されているのは、私自身片付けをするとして業者に依頼をしなかったものだ。しかし、その中のひとつが開けられているのに気がついた。

 近づいて確認すると、小さいころからのアルバムが入っていたはずなのに、見当たらない。

「ねぇ、ここの……」

「あぁ。これだろう?」

 チェストの上に出されていたアルバムを社長が手に取った。

「俺も荷物の片付け手伝ってやろうと思って」

「社長が開けたの?」

「あぁ」

「マル秘って書いてあるでしょうが!?」

 私は、彼の手の中にある自分のアルバムを奪い返そうととびかかったけれど、アルバムを高く掲げられて届かない。

「夫婦間で秘密はよくないよな?」

 必死な私を見て、嬉しそうな顔をしているのはどうして?

 いや、ちょっとわかった気がする。きっとこうやって私がいちいち突っかかるから、からかってくるんだ。ここは今さらだけど、大人の女性らしく冷静に。

「見たければ、みればいいじゃない。別に困らないし」

 いや本当は困る。黒歴史はやっぱり黒歴史なのだ。いくら戸籍上は夫婦になったとしても他人同然の相手に見られるのは辛い。

「良い心がけだ。俺たちはお互いのことを知らなさすぎる」

 それって、私のことを理解しようとしてくれているの?
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