クールなCEOと社内政略結婚!?

「もう、あさ美さん、会議ちゃんと聞いてましたか？」

　長い会議が終わり、デスクに戻って一息つくころ、隣の席に座る梨花ちゃんが、新作の抹茶味のクッキーを私に差し出しす。

「ありがとう。あ、これ。今朝コンビニで見たやつだ。早速手に入れてるなんて、さすが梨花ちゃん」

「こんなことで、褒められてもうれしくないです。」

　そうは言いながら、二枚目のクッキーを私のデスクに置いてくれる。私は、まだ隣でお小言を言っている梨花ちゃんの声をＢＧＭに、パソコンに向かい仕事を始めた。

　えーっと、まずは縫製仕様書作って、それから……あれ、あのサンプルどこにいんたんだろう。あ、えーっと。そういえば経費精算も今日までのはず。

　デザイナーといえど、デザインだけやっていればいいわけではない。コストの交渉や納期の管理。社内の様々な部署とのやりとり。それらすべて自分の仕事なのだ。

　実際入社するまで、この仕事の内容がこんなに多岐にわたるとは、思ってもみなかった。けれど、どの仕事も自分の生み出すドレスを作るのに、なくてはならない仕事だと思うと、苦にならなかった。

　持前の集中力を発揮し、目の前の山のような仕事を次々処理していく。

「梨花ちゃん、納期の件ってどうなってる？」

「あっちの担当者が今日は、出張なので、明日以降連絡もらえるように言ってあります」

「あと……」

「ストーップ！」

　まだ話を続けている私を、梨花ちゃんが止めた。