クールなCEOと社内政略結婚!?
なんとも言えない気持ちで食事を終えた。自分の食器を片付けるついでに、孝文のぶんも下げてしまう。なんだかそのまま置いておくのがみじめに思えたのだ。私は丁寧にラップをかけると冷蔵庫の中にしまい、自分の食器を洗って片付けた。
もやもやとすっきりしない気持ちのまま、孝文の帰りを待とうと、私はスケッチブックを手にリビングに陣取った。こういうときはデザインするに限る。没頭しているうちに、面倒なことは考えなくて済むからだ。
私はさらさらと思いつくまま、鉛筆を走らせた。集中して描いていると、周りから音が遮断されて自分の世界に入りこむ。一枚目をほぼ書き終えたところで、いきなり後ろから声がかかった。
「それ、来期のデザインか?」
「わっ! びっくりした。おかえり」
「ただいま」
今まで長い間ひとり暮らしだったせいか、普通の挨拶なのにぎこちなく感じているのは、私だけみたいだ。
ネクタイを緩めながら、私の手元のスケッチブックを覗き込む。
「これは、別に何でも……」
「見せてみろ」
私の返事など待たずに、スケッチブックが取り上げられる。
「ちょっと、見ないでよ」
またどうせ、罵られるに決まっている。せっかく気持ちを持ちなおしたのに、またへこみたくない。しかし私の抗議などまるで届かないのか、そのままじっと見つめている。
もやもやとすっきりしない気持ちのまま、孝文の帰りを待とうと、私はスケッチブックを手にリビングに陣取った。こういうときはデザインするに限る。没頭しているうちに、面倒なことは考えなくて済むからだ。
私はさらさらと思いつくまま、鉛筆を走らせた。集中して描いていると、周りから音が遮断されて自分の世界に入りこむ。一枚目をほぼ書き終えたところで、いきなり後ろから声がかかった。
「それ、来期のデザインか?」
「わっ! びっくりした。おかえり」
「ただいま」
今まで長い間ひとり暮らしだったせいか、普通の挨拶なのにぎこちなく感じているのは、私だけみたいだ。
ネクタイを緩めながら、私の手元のスケッチブックを覗き込む。
「これは、別に何でも……」
「見せてみろ」
私の返事など待たずに、スケッチブックが取り上げられる。
「ちょっと、見ないでよ」
またどうせ、罵られるに決まっている。せっかく気持ちを持ちなおしたのに、またへこみたくない。しかし私の抗議などまるで届かないのか、そのままじっと見つめている。