クールなCEOと社内政略結婚!?
「悪い。思ったことがすぐ口に出て」

 余計ひどくない?

 私がそれを口に出さずに睨みつけると、おかしそうに肩を揺らした。

「だから、謝ってるだろう。それに俺は決して〝不本意〟だなんて思ってない」

「だからその理由を――」

「前に言っただろう。俺、断られたの初めてだから逆に新鮮だったって」

 見合い当日にそんなことを言っていたのを思い出した。

「そんなの理由にならない」

「まぁ、別の言い方すれば新鮮だったってこと。今まで俺の周りにいた女とは違う。自分の夢もちゃんと持って、その夢のために結婚を受け入れるくらいの覚悟ができる。あさ美のそういう強さを俺は気に入ってる」

 そこで、まっすぐに私を見つめた。

「俺はこの結婚もありだと思って、前向きに捉えている。だから、お前も逃げるばっかりじゃなくて、少しずつこの生活を受け入れろ」

 彼の真剣な目から、それが冗談じゃおべっかじゃないことがわかる。

 私も何か言おうと思うのに、言葉にならない。ただこんなにもストレ―トに、気持ちを伝えられるとは思っていなくて、頬に熱が集まってきた。

……でも受け入れろなんて簡単にできることじゃないし。どう気持ちを持っていけばいいのか考えていると、孝文がひとり言のように声を出した。
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