クールなCEOと社内政略結婚!?
――パチン
「俺の圧勝だな」
孝文が最後の石をひっくり返して黒に変えながら余裕に満ちた表情を浮かべた。
「ひどい」
思わず出た私の言葉に、敵は肩をすくめてみせた。
「何が? なんか俺セコい手でも使ったか?」
たしかにルールを無視したわけではない。けれど私は納得できなかった。
「最初わざと弱いフリしたじゃない。あんなのズルイ」
「失敬な。戦略と言え。 何も考えずにこの俺が勝負すると思うのか?」
言われてみればそうだ。私の知っている目の前の男は常に自分の思うように、物事をすすめるスキルを持っている。
肩を落とす私に、嬉しそうな声が聞こえてきた。
「さぁて、何でも言うことをきいてくれるんだったな」
ニヤニヤと嫌な顔で悔しさいっぱいの私の顔を覗きこんでくる。こういうとき、整った顔が余計に憎らしく思えた。
何を言われるんだろう。ビクビクとおびえる私に、彼は自分の座っている隣をトントンとたたいた。そこに座れという意味だろう。
しぶしぶながら私は従った。仕方がない、勝負は勝負なのだから。
おそらく結構な値の張るだろうソファは、包み込まれるような感じで心地よい。しかし、どんな無理難題をふっかけられるかとビクビクしている私には、リラックスする余裕もなかった。
「俺の圧勝だな」
孝文が最後の石をひっくり返して黒に変えながら余裕に満ちた表情を浮かべた。
「ひどい」
思わず出た私の言葉に、敵は肩をすくめてみせた。
「何が? なんか俺セコい手でも使ったか?」
たしかにルールを無視したわけではない。けれど私は納得できなかった。
「最初わざと弱いフリしたじゃない。あんなのズルイ」
「失敬な。戦略と言え。 何も考えずにこの俺が勝負すると思うのか?」
言われてみればそうだ。私の知っている目の前の男は常に自分の思うように、物事をすすめるスキルを持っている。
肩を落とす私に、嬉しそうな声が聞こえてきた。
「さぁて、何でも言うことをきいてくれるんだったな」
ニヤニヤと嫌な顔で悔しさいっぱいの私の顔を覗きこんでくる。こういうとき、整った顔が余計に憎らしく思えた。
何を言われるんだろう。ビクビクとおびえる私に、彼は自分の座っている隣をトントンとたたいた。そこに座れという意味だろう。
しぶしぶながら私は従った。仕方がない、勝負は勝負なのだから。
おそらく結構な値の張るだろうソファは、包み込まれるような感じで心地よい。しかし、どんな無理難題をふっかけられるかとビクビクしている私には、リラックスする余裕もなかった。