クールなCEOと社内政略結婚!?
「万歳して」

「万歳?」

 座ったまま私は素直に両手を上げた。すると彼の頭がポスンと私の膝にのっかった。

「ちょ……」

「うるさいぞ。俺が勝ったんだから、お前は黙ってればいいんだ」

 横暴な言葉をはいて、それから目を閉じた。

 たしかに何でも言うことを聞くという約束だ。しかしこれは恥ずかしすぎる。

 彼の頭の重みが私の膝にのっている。しかし、いまいち収まりが悪いのか、ちょっと頭を動かしながら、よい位置を模索しているようだった。

 全神経が彼を支える膝に集中しているようだった。恥ずかしさから頬が赤くなり、孝文が目をつむってくれていてホッとした。

 もぞもぞとしていた彼はいいポジションを見つけたのか、動かなくなる。それからしばらくじっとしていると、

「スースー」という寝息が聞こえてきた。

「うそ、寝ちゃったの?」

 顔の前で手を振ってみたけれど、まったく反応がない。どうやら本当に眠っているようだ。

 はぁ……もう、どうしよう。

 いつまでこのままでいればいいんだろう。そう思ったけれど、気持ちよさそうに眠る彼を見ると、すこしくらいはいいかと思えた。
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