クールなCEOと社内政略結婚!?
 もともとクォーターで、色素が薄いとは思っていたが、ライト照らされた髪は一段と輝いて見えた。

 柔らかそうだな……。そう思った瞬間、気がつけば私は彼の髪を触っていた。さらさらと指をすり抜ける髪の手触りが心地よい。彫も深く羨ましい。なによりもズルイと思うのはその長い睫だ。室内のライトで陰ができるなんて、世の中のまつげ問題で悩む女子全員敵にまわしてしまいそうだ。

 ときどき、きゅっと結ばれる唇は、かさつきなど皆無で、この形のいい口から私に紡がれる言葉がいつも辛辣なことが残念でしかたない。

 この唇が甘い言葉をささやくなんて想像もできないと今まで思っていたはずなのに、なぜだか今それを想像してしまって……ひとり悶絶する。

 きっとこんな今までの日常とかけ離れたシチュエーションだからだ。

「はぁ……私疲れてるんだ。きっと疲れすぎてるんだ」

 気持ち良く眠る孝文の顔を見ていたら、私まで眠くなっていた。しかし、こんなに気持ちよさそうに眠っているのに、起こすのも忍びない。

 私はそのままの体制でしばらく頑張っていたけれど、気持ちよさそうに眠る孝文を見ていたせいか、まぶたがゆっくりと落ちていくのを感じた。
< 83 / 239 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop