クールなCEOと社内政略結婚!?
 こ、これは……。

 私の太腿に触れるこの感触は……、いや、違うそんな……でもたぶん――

「いやー!」

 私は声を上げるとともに、思いっきり手に力を入れて彼の拘束を振りほどいた。

「……痛って」

 私にベッドから落とされた孝文が、腰のあたりをさすりながら立ち上がった。そしてその姿をみて、私がまた声を上げる。

「へ、変態。どうして裸なのっ?」

「はぁ? あぁ、安心しろ下は履いてる」

 その言葉を聞いて安堵した。いや、上半身も私にとっては、なかなか刺激が強い。

「あ、安心なんてできないわよ。朝からあんなもの、押しつけてくるなんてっ!」

「おいおい、自分の旦那を痴漢扱いかよ。仕方ないだろう。生理現象なんだから」

 けだるそうに髪をかき上げる。その仕草がすごく色気があって思わず見とれてしまいそうになり、自分を律した。

「だいたいどうして、私がここで眠ってるの?」

「どうしてって……お前が罰ゲーム中にまぬけに眠りこけたからだろう」

 あぁ、そうだった。孝文の気持ちよさそうな寝顔を見ていてそして……。

「ここまで運んでやったのに、散々な言い草だな。重かったのに、こんな言われ方するなんてな」

 残念そうに肩を落としている。

「でも、ここで一緒に寝る必要なんてないし……」

「いいだろ。夫婦なんだ、一緒のベッドで眠るくらいのこと、普通だろ?」
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