クールなCEOと社内政略結婚!?
③嵐の誕生日
「あさ美、お前明日は……」
「え~? 明日はちょっと出かけるけど、何かあった?」
〝あさ美〟と呼び捨てにされても違和感を覚えなくなった、梅雨時期――六月後半の金曜日。
いつも通り朝のコーヒーを淹れている私に、孝文がカウンター越しに声をかけてきた。
一緒に暮らし始めてからなんとなく、朝のこの時間は一緒に過ごすようになっていた。
早めに出社する孝文のおかげで、私も出社時間が早まった。朝早めに出社してする仕事の作業効率がよく、残業時間も少し減らすことができた。
それなりにこの生活に慣れ始めたころだった。
「いや……別に」
いつも通り、広がった新聞の向こうから、ぶっきらぼうな返事があった。
何でもないなら聞かなきゃいいのに。明日は、仕事の関係でニューヨークに一時帰国する俊介とご飯に行く約束になっていた。そのまま空港まで送っていくつもりだ。
数少ない小さいころからの友達である俊介とゆっくりできるのを、私は楽しみにしていた。
孝文の前にコーヒーを置いたあと気がつくと私は、鼻歌混じりに朝食の準備をしていた。ふと顔を上げると、孝文がこちらをじっと見ている。
「どうかした? あ、もしかして孝文も食べたい?」
トーストに焼いた目玉焼きをのせながら聞いたけれど、チラッとこちらを見て返事もせずに立ち上がる。
「え~? 明日はちょっと出かけるけど、何かあった?」
〝あさ美〟と呼び捨てにされても違和感を覚えなくなった、梅雨時期――六月後半の金曜日。
いつも通り朝のコーヒーを淹れている私に、孝文がカウンター越しに声をかけてきた。
一緒に暮らし始めてからなんとなく、朝のこの時間は一緒に過ごすようになっていた。
早めに出社する孝文のおかげで、私も出社時間が早まった。朝早めに出社してする仕事の作業効率がよく、残業時間も少し減らすことができた。
それなりにこの生活に慣れ始めたころだった。
「いや……別に」
いつも通り、広がった新聞の向こうから、ぶっきらぼうな返事があった。
何でもないなら聞かなきゃいいのに。明日は、仕事の関係でニューヨークに一時帰国する俊介とご飯に行く約束になっていた。そのまま空港まで送っていくつもりだ。
数少ない小さいころからの友達である俊介とゆっくりできるのを、私は楽しみにしていた。
孝文の前にコーヒーを置いたあと気がつくと私は、鼻歌混じりに朝食の準備をしていた。ふと顔を上げると、孝文がこちらをじっと見ている。
「どうかした? あ、もしかして孝文も食べたい?」
トーストに焼いた目玉焼きをのせながら聞いたけれど、チラッとこちらを見て返事もせずに立ち上がる。