兄弟ものがたり
2 陽仁~大好きなひと達へ~
「立河!」
陽仁が両手で勢いよく机を打つバンッという音が、人もまばらな講義室内に響き渡る。
「このあと暇か?」
本日最後の一コマを終えて、帰り支度をしていた陽仁の友人立河は、その音にビクッと顔を上げた。
「ちょっと頼まれて欲しいことがあるんだ!」
「……頼まれて欲しいこと?ぼく、運動はそんなに得意じゃないから、サークルの助っ人とか絶対無理だよ」
両手をパンッと合わせて拝むようなポーズを取る陽仁を、立河はびくびくしながら見つめる。
今までも何度か、人数合わせで助っ人を頼まれたことがあったため、立河は準備を終えた鞄をしっかり掴んで、逃げる用意も万全に陽仁の言葉を待った。
もちろんそんな立河の心の内など知る由もない陽仁は、顔を上げて縋るような目で友人を見つめる。
「おれと一緒に、お菓子を作ってくれ!」
講義室内に響き渡る陽仁の声に、立河はしばらく固まる。
それは、全く予期していなかった言葉だった。
陽仁が両手で勢いよく机を打つバンッという音が、人もまばらな講義室内に響き渡る。
「このあと暇か?」
本日最後の一コマを終えて、帰り支度をしていた陽仁の友人立河は、その音にビクッと顔を上げた。
「ちょっと頼まれて欲しいことがあるんだ!」
「……頼まれて欲しいこと?ぼく、運動はそんなに得意じゃないから、サークルの助っ人とか絶対無理だよ」
両手をパンッと合わせて拝むようなポーズを取る陽仁を、立河はびくびくしながら見つめる。
今までも何度か、人数合わせで助っ人を頼まれたことがあったため、立河は準備を終えた鞄をしっかり掴んで、逃げる用意も万全に陽仁の言葉を待った。
もちろんそんな立河の心の内など知る由もない陽仁は、顔を上げて縋るような目で友人を見つめる。
「おれと一緒に、お菓子を作ってくれ!」
講義室内に響き渡る陽仁の声に、立河はしばらく固まる。
それは、全く予期していなかった言葉だった。