兄弟ものがたり
「宅急便か?」
「アホ」
真顔で問いかけてくる陽仁に冷たく言い返して、和人は食べ終えた食器を手に席を立つ。
重ねた食器をシンクに置いてさっさと自分の部屋に戻ろうとしたところで、勢いよく開いたリビングのドアが鼻先スレスレを通過した。
「おはようございまーす!誰もお迎えに来てくれなかったけど、鍵は空いていたのでお邪魔しまーす」
誰が招いたわけでもないのに勢いよく上がり込んできたのは、宅急便ではなく、お隣に住む高校生の佐川 真悠だった。
「おい真悠、ドアはもっと静かに開けろって何度も言ってるだろ!危うく鼻がなくな――」
「ああー、おはよう真悠ちゃん!早速なんだけど、僕の携帯知らな――」
「真悠!ちょうどいいところに来た。おれのタオルどこ?」
お互いの最後の言葉に被せるようにして、次々に喋り出す三人。最後まで言えたのは陽仁一人だが、真悠はうんうんと頷くと、まずは一番急いでいるであろう三原家の父の方を向いた。
「ソファーの背もたれとの隙間は見てみました?おじさんの携帯、たまにそこに挟まってますよ」
「ソファーの隙間……――――ああ、あった!まさかこんなところにあったなんて。ありがとう真悠ちゃん!じゃあ、遅刻しちゃうから行ってくるね」
「いってらっしゃーい」
「アホ」
真顔で問いかけてくる陽仁に冷たく言い返して、和人は食べ終えた食器を手に席を立つ。
重ねた食器をシンクに置いてさっさと自分の部屋に戻ろうとしたところで、勢いよく開いたリビングのドアが鼻先スレスレを通過した。
「おはようございまーす!誰もお迎えに来てくれなかったけど、鍵は空いていたのでお邪魔しまーす」
誰が招いたわけでもないのに勢いよく上がり込んできたのは、宅急便ではなく、お隣に住む高校生の佐川 真悠だった。
「おい真悠、ドアはもっと静かに開けろって何度も言ってるだろ!危うく鼻がなくな――」
「ああー、おはよう真悠ちゃん!早速なんだけど、僕の携帯知らな――」
「真悠!ちょうどいいところに来た。おれのタオルどこ?」
お互いの最後の言葉に被せるようにして、次々に喋り出す三人。最後まで言えたのは陽仁一人だが、真悠はうんうんと頷くと、まずは一番急いでいるであろう三原家の父の方を向いた。
「ソファーの背もたれとの隙間は見てみました?おじさんの携帯、たまにそこに挟まってますよ」
「ソファーの隙間……――――ああ、あった!まさかこんなところにあったなんて。ありがとう真悠ちゃん!じゃあ、遅刻しちゃうから行ってくるね」
「いってらっしゃーい」