兄弟ものがたり
「じゃあこの間に、次はゼリーね」


陽仁をコンロの前まで移動させると、あらかじめ用意しておいた鍋に、水と粉ゼラチン、グラニュー糖を入れて火にかける。


「ゼラチンが溶けたら、火を止めてオレンジジュースを入れてね。あと缶詰で申し訳ないけど、一応みかんもあるからこれも使って」


説明された通りにゼリーの元を作り上げた陽仁は、立河に言われるまま、それを直接重箱に流し込んで、缶詰のみかんも放り込む。


「……せっかくなんだから、もう少し綺麗に並べればいいのに」


立河の小言も笑顔で聞き流して、陽仁は液体が零れないようにそっと重箱を冷蔵庫に運ぶ。
そしてゼリーと入れ替えるように、休ませておいたクッキーの生地を取り出した。
その間に、立河がオーブンの温度を設定して余熱を始める。


「はい、じゃあそこに型があるでしょ。好きなのを使って、好きに型抜きして。出来たらこの天板に載せてね」


たくさんある型に目を輝かせた陽仁は、思うままに型を抜いて、オーブンシートが敷かれた天板の上に並べていく。

一心不乱に陽仁が型を抜き、穴だらけになった生地は立河が丸めて丁度いい厚みに伸ばす。その作業を繰り返し、天板がいっぱいになったところでオーブンへ。
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