兄弟ものがたり
クッキーがびっしりと詰まった重箱を眺めて、陽仁が満足げに頷く。
それから、冷蔵庫で冷やしておいたトリュフを取り出すと、手で丸めてココアパウダーを振りかけ、完成したチョコをまた重箱に詰めていく。


「なんだかんだ言って、あいつらお似合いなんだよな。二人が並んで仲良さそうに言い合いしているのを見るのが、おれは結構好きなんだ」


トリュフの隣に、シリコンの型から外した星や花の形のチョコレートを入れて、全ての段がお菓子で埋まる。


「真悠は和人の隣で笑っているのが似合うし、和人も真悠の隣にいるのが似合う。きっと二人は、幸せになれると思うんだ」


ニカッと笑った陽仁に、立河は最後に、どうしても確認したかった。


「三原くんは、それでいいの?」


訊く前から、答えは予想がついていた。


「当たり前だろ」


答えはやはり、予想通り。陽仁は、晴れやかな笑顔で言い放つ。

けれど、それが嘘か本当かは、誰にもわからない。
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