兄弟ものがたり
3 真悠~雨の日のホットチョコレート~
「ホットチョコレートです」
「ホット、チョコレート……?なんて、メニューにありましたっけ」
「いつもご贔屓にして頂いているので、佐川さんには特別です」
いたずらっぽく片目を瞑ってみせるその仕草に、真悠はクスッと笑ってありがたくカップを受け取った。
口に含んだ瞬間、とろけるような甘さと、じんわりとした温かさが舌の上に広がっていく。
「本日はどうなさいますか。このままお喋りを?それとも、料理をお教えしますか?お一人でのんびりされたければ、私は下がりますが」
温かいチョコレート以上に心に染みる柔らかい笑顔に、真悠はカップを両手で包み込んだままで笑顔を返した。
「星見さんがよろしければ、今日は話し相手になってもらえますか?」
ここは、路地裏の喫茶店。
以前買い物帰りにたまたま見付けて立ち寄って以来、真悠はすっかりこの店を気に入って足繁く通うようになり、今では店員の星見から料理を習うまでの常連と化している。
趣のある店の雰囲気ともマッチしている星見は、どこからどう見てもこの店のマスターにしか見えないのだが、本物のマスターは別にいるようで、真悠はまだ会ったことがない。
「ホット、チョコレート……?なんて、メニューにありましたっけ」
「いつもご贔屓にして頂いているので、佐川さんには特別です」
いたずらっぽく片目を瞑ってみせるその仕草に、真悠はクスッと笑ってありがたくカップを受け取った。
口に含んだ瞬間、とろけるような甘さと、じんわりとした温かさが舌の上に広がっていく。
「本日はどうなさいますか。このままお喋りを?それとも、料理をお教えしますか?お一人でのんびりされたければ、私は下がりますが」
温かいチョコレート以上に心に染みる柔らかい笑顔に、真悠はカップを両手で包み込んだままで笑顔を返した。
「星見さんがよろしければ、今日は話し相手になってもらえますか?」
ここは、路地裏の喫茶店。
以前買い物帰りにたまたま見付けて立ち寄って以来、真悠はすっかりこの店を気に入って足繁く通うようになり、今では店員の星見から料理を習うまでの常連と化している。
趣のある店の雰囲気ともマッチしている星見は、どこからどう見てもこの店のマスターにしか見えないのだが、本物のマスターは別にいるようで、真悠はまだ会ったことがない。